ART NOTE (制作ノート)

水彩絵具-‘塩’の効果-

水彩紙の種類や水分量により結果は様々ですが、絵具が乾く直前に食塩を振りかけると、周囲の色を吸い込んで、雪の結晶のような模様に白くマスキングされます。

※偶然性が強く、思い描いた通りの柄を描かせることはとても難しい。料理でいう‘塩を打つ’ときような絶妙な加減が必要だと思う。
頭の中で伝えたいイメージがはっきりと浮かび、全身の感覚がそれに集中しているときは、イメージ通りの文様を創り出してくれることがあります。そして、マチエールの弱い水彩画の画面を劇的に変化させ、作品を輝かせてくれます。

そんな風にいつも偶然を操れたら・・・と思います。

鉛筆と擦筆

鉛筆でのデッサンで、紙の繊維を傷めない程度に擦筆や布、指などで画面を擦って陰影をつくると、淡い空気感と奥行きを表現することができます。
フィキサチーフを使い、何層にも定着させることで、より深みのある黒鉛の色が現れてきます。
紙を綺麗に汚していく感覚。磨耗強度の高い用紙では、他にも‘削る’‘練りこむ’などの工程により、刺激ある画面が作れる。

※鉛筆は長さが短くなればなるほど好きです。イメージした映像から指先へと伝わる感覚が、より強く鮮明で直接的なものになるからです。
描くときには、線を引く場所(点)から伸びる架空の十字線を作り、すばやく上下左右の空間を読み取ります。このとき同時に、質感や全体の構図を意識しながら描く訓練を続けることにより、描写力を高めることができます。
そして最も大事なことは、‘感じたこと’‘思ったこと’ をいかにその線に表すことができるかだと思います。自己との対話を繰り返しながら、瞬間の感情を描き止めていくことの大切さ。
技術と感覚がバランスよく調和して、結び合うことで、一歩一歩「自分の絵」が出来上がっていくのだと思います。

樹木を描く

軸となる重心線を想像し、書道で字を書くような感覚で描くと、活き活きとした樹木を表現することができます。

 

※風景画では脇役になることが多いですが、 ‘木’も‘人’と同じように無二の存在。一本一本と向き合い、個性を見つけることで、より強い存在感が浮き上がってくる。
一期一会の気持ちが自然への感謝を深めて、語りかけてくるメッセージを感じ取る心が生まれてくるのだと思います。
心の持ちかたを変えることによって、新しい視界が生まれ、広がっていくのを感じます。

最大の創造は、自分自身が変化することなのかもしれません。